majoccoプロフィール

1991年ばらの日生まれ。仙台出身、東京都在住。多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業後、広告やグッズ、雑誌のカットなどで主にイラストレーターとして活動。

──『ラストロマンス』のイメージイラストはもちろん、フォントやキャッチコピーにいたるまで、すべてのアートワークをmajoccoさんが担当しているんですよね。
majocco:今回、お話をいただいて、めっちゃ楽しかったです。これまで、きちんとみなさんのことを見ていたわけではなかったので、TwitterやInstagramを見たりと、追いかけましたね。それだけではなかなか把握できなかったので、担当の方に、短期で見ている人ではわからないみなさんのいいところを教えてもらいました。そこから、みなさんにどういう衣装が合うかなと考えて作りました。
──今回、イメージイラストの衣装が、そのままに近いかたちでステージ衣装にもなっているんですよね。
majocco:そうなんですよ。ステージ衣装のベースにするかもっていう話はうっすらもらっていたんですけど、ここまできちんと衣装になるとは思っていませんでしたね(笑)。ラフの状態で衣装のイメージを送らせてもらって、それをイラストに合うように本番の絵に落とし込みました。みなさん顔の系統が違うので、それぞれ違うかたちにして色を統一して──と思ったんです。テーマカラーがないので、そこはよかったです。
庄司:それぞれのメンバー衣装でこだわったところとかあれば、お聞きしたいなと思っていました。
majocco:例えば、中江さんは首のラインとか目の強さを見せたかったので、実際に着ている姿というよりは、イラストにしたときの見え方を優先してデザインさせてもらっています。
 庄司さんは表情がとても魅力的なので、髪をアップにしました。上品なイメージの衣装にしたいというのはありましたね。そこに変わった感じの装飾小物を持たせたら、絶対に合いそうだなと思ったんです。持ち物とかをメンバーさんのTwitterとかインスタ(instagram)で見て好きそうなものを描きました(笑)。やっぱり本人が「持ちたい」って思ってもらえるものじゃないと、テンション上がらないじゃないですか!
 山邊さんはとにかく体のラインが綺麗だと思ったので、肩や足を出して、スカートを短めにしたんです。モデルさんみたいなので、変わったデザインのものも着こなせそうだし、若い女の子が「こういうの着たい!」ってなるものがいいなって思いましたね。あとは、黒髪きれいなので、髪をストレートにしました(笑)。
 新井さんは男性が、いちばん「彼女にしたい」って思いそうなので、可愛くしてスタイルをよく見えるようにしました。雰囲気が柔らかそうなので、髪を巻いた感じにしています。
そして、それぞれのポーズも悩みましたね。固定の配置というのがなかったので、今回はどう配置したらよく見えるのだろうって、4人全員が綺麗に見えるポーズを考えました。
──それぞれのメンバーのことをかなり考えてデザインしたわけですね。
majocco:考えないと描けないんです。調べましたよ。動画とかインスタを見て、ネットストーカーみたいになって、フォローしてないのにすみませんって(笑)。今回は絶対に力になりたかったので、時間のある限り調べました。私がいいと思わないと、お客さんにも伝わらないと思うので、咀嚼しつつ作らせていただきました。
メンバー:ありがとうございます。
──今回のキャッチコピーについても教えていただけますか?
majocco:「お姫様になれなかった私達の、続きの話。」というのは、これまでの女子流さんは武道館を経験して、そこから先で足踏みしてしまってというのを伺ったんです。例えば「16歳でみんな引退します」みたいな感じで、山口百恵さんみたいだったらお姫様で終われたんですよ。アイドルって偶像なんですけど、もうちょっと生っぽくても、歳を重ねて表現できることが多くなってきたりするので、力になれる言葉を送りたかったんです。みんなお姫様みたいになりたいっていう憧れはあると思うんですけど、だいたいの人はお姫様になれません。そういう子たちが、二十歳までに最高の経験ができなかったら終わりってならないように、「続きの話」っていうのを提案して、未来に向かうかたちにしました。
 「君の欲しいさよならを、私はまだ、言えない。」も同じことなんですけど、誰かが「終われよ」って言っても、「絶対に終わらせない」「まだ続けてやる」みたいなことを表現したかったんです。「もうツインテールやめたら」とか、「もうフリルやめたら」とか言う意地悪な人っているじゃないですか? そういうものに「No」と言える活力を、女子流の方向性の中に旗っぽいものとして立てられるといいなって思いました。ステージに立ち続けている人の気合いとか、ファンの人には見てもらいたいし、私もそれを見て頑張ろうってなるんですよね。全女子に向けた言葉として、女子流さんから届けてほしいです。
──お話を聞いて、どうですか?
庄司:熱い思いが私たちにエールをくださいました。
新井:対談することで、直接、思いが伝わってきたので、すごくグッときました。
山邊:考えに自分の芯っていうのがすごくあってかっこいいです。憧れます。
majocco:相手のよさを考えて表現して出すのがイラストレーターやデザイナーだと思うので、私のことを今回かっこいいと思ってくださるってことは、みなさんがかっこいいからってことになるんですよ。
山邊:なるほど(照)。
──majoccoさんはカップリングの『初恋』の作詞もされているんですよね。
majocco:『ラストロマンス』の対になる言葉ってなんだろうって思って出たのが『初恋』なんですよね。対比は意識しています。A面と同じくらい意味のあるB面にしたくて、ラストロマンスの歌詞を読んでそれを受けて書いている部分はありますね。
──今回のイラストのイメージもですけど、『初恋』の歌詞でも「東京」がテーマになるかなと思うんですけど。
majocco:みなさん、まだ少女ですらないような年齢から「東京」っていう大看板背負ってやってらっしゃるし、東京さんが結婚してくれないと女子流さん報われないよねって思いました(笑)。
 私は歌詞の内容として、特別になれなかった人の話をしたいって提案したんです。女子流さんは、なろうとした特別にまだ到達していなくて、いま頑張っているところだと認識しているんですけど、女の子たちの最終系の特別ってなんだろうって思って、人間の数だけ、女子の数だけあると思うんですけど、「結婚」かなって。東京女子流を分離するとしたら、「東京」が苗字で「女子流」が名前みたいな。初恋が12歳でおかしくはないと思うんですけど、みなさんが最初に強烈に憧れたものが仮に東京だったらって考えたんです。そこにちょっと大人びた感覚とか情景をうまく織り交ぜて歌詞にできたらいいなって思いました。
──アートワークのほうにも「東京」らしさが含まれていますよね。
majocco:ラストロマンスの歌詞に合わせて、世界は壊したいなって思って、これまでの女子流を壊すっていうイメージと世界を壊すっていうイメージをリンクさせてみました。私は東京女子流が新しく生まれるなら、やっぱり「東京」っていうものは必要だなって思っていて、地球を壊して女子流が生まれて、息はしてるし未来は明るいしっていうのをビジュアルに落とし込んだイラストになっています。
──どうですか? これまでお話を聞いてきて。
中江:女子流がデビューしたときは12、13歳でまだ未知のことが多かったんです。いまの年齢になって感情が増えてきたというか、「悲しい」にもいろんな悲しさがあったりとか、そういうのを知って自分たちのパフォーマンスも色がついたと思っています。「お姫様」ってすごく綺麗でキラキラしているもので、みんなが羨むものなんですけど、そこに変化がなければつまらないものなんじゃないかなって。女子流にも「お姫様になろう」って思ってた時期があったんですけど、それ以上にもっと変化のある面白いものをみんなに見せていけたらいいなって、今回お話を聞いてより感じるようになりました。「お姫様になれなかった私達の、続きの話。」っていうキャッチコピーがハマりますよね。
majocco:歳を重ねると、周りにあるのに実態がつかめていなかったものが見えるようになるんですよ。例えば、空は「青」でしかなかったけど、微妙に青じゃないことを知る、とか……。単純に語彙が入っていない状態なんですよね。青じゃないのはなんとなくわかっているけど、「青」しか表現する言葉がない、みたいな。「少女」って頭が良くないっていうイメージが作られがちだけど、それってたぶん語彙が少ないからなんです。
中江:今回、majoccoさんが女子流のことをたくさん調べてくださって、ネットってすごいんだなってあらためて思ったんですけど(笑)、メンバーの中の部分まで見て考えてくださったので、これからもわからないことなどを聞いて、私たちの気持ちとか感情が増えるといいなって思いました。実は明日、『初恋』をレコーディングするんですよ。だから歌う前にお話しができてよかったです。「東京」と「女子流」を結婚させるとか、細かい意味もわかったので(笑)。
majocco:私は上京組だから、東京に対する過剰な憧れがあったんです。特に地方にいたときはすごくあって、歌舞伎町はやばい人ばっかりがいると思ってたし、原宿はむちゃくちゃおしゃれな人しか歩いていないと思っていました。東京に憧れているすべての人に「東京に恋をした」って言わせたかったんですよね。
山邊:最初にそこの部分がインパクトあって入ってくるから、頭にインプットされちゃいますよね。みんなで話してたんですけど、絶対に男性目線じゃ書けない、女の子にしか書けない歌詞だなって思います。これを機に、全女子に聴いてもらいたいですよね。
majocco:もちろん、いままでのファンの方にも違和感なく受け入れてほしいです。「さよなら」ではなくて「こんにちは」なんです。そういう気持ちをビジュアルイメージやキャッチコピーにも込めました。

春ねむりプロフィール

1995年生まれ、横浜出身のシンガーソングライター / ポエトリーラッパー / トラックメーカー。
2016年10月、突如マイクを握り、うたう最終兵器「春ねむり」としてデビュー。
自身で全楽曲の作詞・作曲を担当している。2018年、フルアルバムのリリースが期待される。これが新世代のジェイポップ、こころはロックンロール。

Lucky Kilimanjaroプロフィール

2014年、熊木幸丸を中心に活動開始。リスナーの心を躍らせることを目標とした6ピースエレクトロポップ・バンド。鮮やかなシンセサイザーのサウンド、ダイナミックなドラム&パーカッション、誰もが口ずさめるメロディラインとダンスミュージックの融合はリスナーからの注目を集めてやまない。

──『ラストロマンス』という曲はどのように生まれたのか教えてください。
春ねむり(以下、春):自分が「いい曲だ」と思ったものを出して、それがダメなら無理だなって思っていました。東京女子流さんの2013年くらいのアルバムが好きで、めっちゃ聴いていたので、それに影響されすぎちゃいけないなと、最近の楽曲も同じくらい自分に染みつかせるまで聴いて、できた曲が『ラストロマンス』です。ラストロマンスのサビの歌詞が「あしたせかいが終わったら」と始まって「きみの気持ちが壊れたら」と続くんですけど、この曲に出てくる子にとって、「きみの気持ちが壊れる」っていうのは、「あしたせかいが終わる」のと同じことなんです。これを真剣な気持ちで歌ったらすごい尊いなと思って、そんな曲にしました!
中江:ラストロマンスの歌詞を見たときに、その感覚にまだなったことがないから難しいなって思ったんですけど、女子流がこの世界観を歌うって面白いんだろうなって思いました。これまでも女子流の楽曲にはダークなものとか重めなものはあったんですけど、ここまで感情的な曲はなかったので、もっともっと感情を込められたらなって思います。
──春さんも熊木さんも、レコーディング中にずっといらっしゃってアドバイスなどされていたそうで、歌が変わっていく様子はありましたか?
熊木幸丸(以下、熊木):あんまりこうした雰囲気の曲を歌うことがなかったようで新鮮そうだったんですけど、女の子なのでちゃんと歌えるんですよね。エモーショナルになる部分とかもちゃんと歌えていて、すごいなと思いました。こんなにアイドルアイドルしていない曲でも表現できるんだったら、可能性がもっといっぱいあるなって思いましたね。
──これまでの女子流の曲は編曲にぽさが現れていたと思うんですけど、そのあたりの難しさはありましたか?
熊木:僕はどちらかというと理想の女子流像というものがなかったので、春さんが作った世界観をちゃんと成立させるにはどうしたらいいかっていうことしか考えなかったですね。結構、最初にもらった時点で音が完成されていたので、雰囲気を残しつつブラッシュアップした感じです。
──なぜ『ラストロマンス』というタイトルにしたのでしょうか?
春:最後の「ディア・マイ・ラスト・ロマンス」っていう部分はメロディーから作ったんですけど、そこにハマる言葉を探していました。女子流さんは、歌っているときにちょっと切なさが見えるグループだと思うんですけど、私は切ないものとか儚いものが好きで、「その1点に命かけてる」っていう意味合いの言葉がいいなと思って……最初で最後みたいなものがうまく伝わるカタカナ語ないかなって……「ラストロマンス!」ってなりました。
中江:「ロマンス」ってなんだろう? って思いました。ロマンスっていろんなところで使われるじゃないですか? 「ロマンスカー」とか。
一同:(笑)。
中江:ロマンスってなんですか?
春:わくわくするとかドキドキするとか……。私の場合は、うたっているとき、お客さんから本気の反応が返ってくるとゾクゾクってくるんですよ。そういうときは恋愛とか関係なくロマンスなんです。どのベクトルでもいいんですけど、これが最初で最後だっていうことを自分の中で固めている人ってすごく強いと思うんですよ。そういう女の子の歌にしたかったから、ロマンスっていう言葉がかっちりハマるなって思いました。
新井:いま、息を止めて聞いてしまいました。これがロマンスなんだって……。
──ラストロマンスを作り上げていく際に、おふたりで結構話し合ったりしたんですか?
春:会議室みたいなところに機材を持ってきてもらいました(笑)。
熊木:テレビに僕のパソコンをつないでモニター代わりにして、「このアレンジどうしますか?」「こうがいいですか?」みたいな話をしましたね。
春:ギターとかも持ってきてもらって(笑)。実際に弾いてもらったりしました。
熊木:この曲はデモの状態から雰囲気が楽器にも入っていて、それを僕が再構築することで世界観が損なわれてしまうことが怖くて、だから、話し合いがすごく必要でしたね。
春:ピアノの音とかも、「もう1回」「もう1回」って何度も試して。「もうちょっとキラキラした感じ、できます?」とか、すごく抽象的な感じでお願いしました。
熊木:でもきっとそこには世界観というかイメージ像があるので、僕はそこに対してうまくアプローチできればなって思っていました。僕がやっているバンドの音というよりかは、根底にはそれもあると思うんですけど、それよりも自分がいま持っている知識とか方法論とかを合わせていって、春さんの曲がより良くなるといいなと思ってやりました。
春:細かいところまでブラッシュアップしてもらいました。とても味のある間(ま)の取り方をしたドラムになっていると思うんですけど、それは全部やってもらったというか、「あ、これ空気感をわかってくれてるリズムだな」って感じました。
熊木:デモの段階では、リズム自体はちゃんとしていたんですけど、ちょっと平坦だったんです。でも、歌詞の中の人はもうちょっと強い女の人だし、女子流さんはちゃんと歌いながらかっこよく踊れる人たちだから、もうちょっとリズムがしっかりした重たいビートにしたほうがいいなって思いました。出すまでは、なんか「めちゃくちゃダメ」って言われたりとか、「全然世界観に合ってない」とか言われたらやべえなって思ったんですけど、よかったです(笑)。
春:最初はデータのやり取りだけで済ませようとも思ったんですけど、なんかそれは初対面だし怖いなって思って、会議室を借りてもらいました。たぶん、会って話したほうがやりやすいし、LINEで「キラキラした感じにして」って言ってもウザいと思われそうなので……(笑)。
熊木:表現がとても抽象的なので、何パターンかやってみないと正解にいきつかなかったですね。そういう点でいえば、会ってみてやってよかったです(笑)。
──3分間という短めの曲になっていますよね。
春:意味がないのに長い曲は嫌で……同じリフを無駄に2周するとかは、私はあまり好きじゃないんです。尺はデモのときから変わってないんですけど、完成版はデモよりも伸びるんだと思われていて、「あれでフル尺です」っていう話はしました。
熊木:最初に話し合ったときに「ちょっと伸ばしましょうか」っていうのは出たんですけど、アレンジしてみて、これは伸ばす必要がないって思いました。伸ばすと、「伸ばした部分」ってなっちゃうくらい構成がしっかりしていたので。3分といっても、物足りない感じはしないと思うんですよね。むしろお腹いっぱいになるくらいしっかりしていると思います。
──近い世代の同性の方が作ったっていうのもポイントになりますよね。
春:そうですね。女子流さんのこれまでの曲は、パリッとしてる男性っぽい感じの曲が多い印象です。曖昧で輪郭が見えないとか、あるんだけど全貌が見えないっていうのが女の子のいいところなので、そういう雰囲気が出ればなと思って作りました。
中江:女性のほうが芯が通っていて強いイメージがありますよね。男性のほうがどこか弱さとか女々しい部分があるのかなって思っていて、それはそれで好きだったりはするんですけど、違いがあるなって思いました。
熊木:女性が女性の歌詞を書いたほうがリアリティーはありますよね。
春:最初にも話したのですが、「きみの気持ちが壊れる」ことが「せかいが終わる」ことで、そう思って歌っているのは、すごく尊いんだよってことは伝えたかったんです。今日は時間が余ったらその話をしようと思っていたので、伝えられてよかったです。
──実際にファンの方に届けるのはこれからじゃないですか。
熊木:どんなふうに歌っていきたいかとか、お客さんにどんなふうに思ってもらいたいか、といったところは気になります。
庄司:世界観とか歌詞とかも含めて、私はこの生々しさが好きで、それっていままでの女子流にはなかったものだと思うんです。ちょっと毒のあることを言っていても、難しい表現にしたり、オブラートに包んできていたので、自分たちに入ってくるのに時間がかかっていた曲もありました。ラストロマンスは素直に入ってきて、それでいてリアルで生々しい感じはすごく残っていて、それがなんでだろう? ってずっと思ってたんです。今回、話を聞いて、同じ女性目線でしかも年齢も近くて、女子流のことを思っていろんな考えを経た結果に出来上がった歌詞だったり曲調だったりしたからこそ、自分たちにもすんなり入ってきたのかなって、なんかスッキリしました。だから届けるときも、女子流がいままであまり出してこなかったリアルな感情を感じ取ってもらいたいなって思いました。
中江:ほんとに、わかりやすく感情が込められる曲だと思います。春さんが書いてくれた歌詞を通して、感情や気持ちを伝えたいって思いますね。
新井:私は感情を決めたくないなって思います。リアルはいまの一瞬しか見られないわけで、その日によっても歌う感じが違ってくるし、その日にしか見せられないパフォーマンスができる曲ですよね。ステージで感情をリアルに伝えたいなって思います。
中江:毎回、同じようには歌わないかもね。
山邊:この曲は演じたら良さが出せないというか、自分たちがいま思っていることをそのまま表現したほうが良さを感じてもらえると思うので、そのときに感じているものをぶつけたいですね。いつもパンチを効かせて、見ている人に刺さるようにってすごく思います。
──今回、対談を終えてみていかがでしたか?
中江:対談できてすごくよかったなって思いました。春さんと熊木さんはレコーディングに立ち会っていただいたのですが、楽曲の歌詞の中の感情だったり、女子流への思いだったりとか、深い部分までは聞けていなかったので、今日、あらためて理解できる部分が多かったですね。それを聞いたうえで、女子流が歌を通してリアルに伝えていけたらなってすごく思います。
 あとは、majoccoさんはお会いしたことがなかったので、すごく謎だったんですよ。どういう方なんだろう? って思っていたんですけど、面白い方で楽しかったです。
山邊:わかる! イメージはすごくクールな感じだけど、人間味が溢れているというか……話しやすいし親近感がわく! majoccoさんと実際に会わなかったらわからなかった話もあって、なぜこういうデザインになっているのか、とか、自分たちの解釈だけで進めていたので、今回こういう対談の場を設けていただいてすごい理解が深まったし、楽曲に対して愛を持って活動していけるなと感じました。
新井:こういう機会ってなかなかないし、すごく奥深くまで知ることができてよかったです。majoccoさんは、私たちのことを本当によく調べてくださっていて、メンバーのここって私はこう見てたけどmajoccoさんから見たらこう見えてるんだって、新しい面を発見できたりもしました。いろんな方たちの協力があって作り上げられたものだっていうのは感じましたし、それを受け継いで、これから楽曲をどう伝えていくかは私たち自身にかかっているなって思いました。
庄司:みなさん、自分たちが思っていた以上に女子流っていうグループのことを理解して、より知ろうっていう気持ちでぶつかってきているんですよね。今回、ちゃんと面と向かってそうした気持ちを聞くことができたし、話すことができてよかったなって思います。女子流4人だけの世界で表現するのではなくて、お話を伺った3人の思いも自分たちの中で共存させながら『ラストロマンス』と『初恋』を届けていきたいですね。初披露が楽しみだっていう気持ちが強くなりました!
山邊:みなさん『ラストロマンス』と『初恋』という曲を愛してくれて、女子流のことも自分たちのことのようにいろいろ考えてくれて、同じ作っている側としてうれしいです。だからこそ、いままでよりもたくさんの人に届けたいっていう思いが強くなりました。
──新クリエイティブとなって、今後の女子流はこう変わっていきたいなどイメージはありますか?
山邊:新しいデモ曲をいまたくさん聴いていて、それがこれからの女子流の曲調になると思うんですけど、デモの時点で素敵な楽曲が多いんですよ。今回、クリエイターのみなさんが愛を込めて作ってくれましたし、女子流も本気でぶつかっていって、いい相乗効果が生まれたらいいなって思いますね。対談で「東京」っていい刺激があるっておっしゃってたんですけど、グループ名が「東京女子流」なので、女子流は音楽を通してみんなに刺激を発信して、音楽性でも常に新しさや魅力を発揮していけるようなグループになっていきたいです。
中江:いろんな人が巻き込まれてくれればなって思います。追いたくなる、ついていきたくなるグループとして女子流にハマってほしいですね。女子流メンバーは女子流の曲のことを誇りに思っているし大好きなので、だからこそみなさんに伝えていけるのがうれしいんですよ。愛情を持って作ってくださった曲を、自分たちの感情をのせて伝えられるのが、いまから楽しみです。
──『ラストロマンス』のMVについても伺いたいのですが、どんな感じの作品になりましたか?
中江:今回、初期の女子流のMVにあったようなダンスシーンをしっかり撮っていただきました。あとは、それぞれリップシーンがあって、そこは自由な感情で動いたので、結構、「こんな表情しているんだ自分」っていう驚きもあったので、ファンの方は見ていて面白いかなと思います。『ラストロマンス』だったからこその、個性とか感性が出ているのかなって思いますね。
山邊:使われてたらいいなって思うのは、間奏のところで壁に当たりに行ったりとか、感情をむき出しにしたところですね。あとは、「ララ・ララ・ララ・ララ・ララ」のところは、切なさとか苦しさを表に出して、そこの表情はいままでのMVでは見れない感じになっているので見てほしいです。
新井:そこ、結構好き。
山邊:ほんと? ライブとかでは見せることはあるんですけど、MVなどの作品にするときは残るものだから、ちょっといい顔しちゃうんですよね(笑)。
──撮影のときからリアルな感情を意識してたんですね。
山邊:そうですね。撮影が終わったら「体、大丈夫?」って心配されちゃうくらい入り込んでました。
庄司:全体を通して、AメロとBメロは平静を装いながら中には秘めているっていうのを意識しながらやって、サビからちょっとずつ曲が進んでいくと感情が出てくるっていうのを意識して撮影したので、その前半と後半の温度差がうまく表現できたらいいなって思います。今回の曲はイメージが自分の中でも作りやすかったというか、理想のかたちがはっきりと見えていたのでやりやすかったですね。
新井:私は、「あしたせかいが終わったら」「きみの気持ちが壊れたら」と続くところですね。そこはサビの言葉が短縮されてつながっているんですよ。だから、「あしたせかいが終わったら」と「きみの気持ちが壊れたら」がイコールっていうのがわかりやすいかなって思います。そして、それを歌ったあとの「ララ・ララ・ララ・ララ・ララ」は、感情的になっているベーさん(山邊)が見れるので見所です。
──ダンスはどんな感じですか?
庄司:歌詞に沿った動きがある振りが多いんですよ。サビの「ディア・マイ・ラスト・ロマンス」のところは、指でL時を作って落ちていくっていうのを表現しているんですけど、ファンの方も一緒にやってくれそうだなって思います。
山邊:見ていて思わず真似したくなる振りが多いですね。
中江:今回、表情だったり感情だったりはフリーなところがすごく多いので、あとは私たち自身が伝えていければなって思います。「今日の女子流違ったよね」っていう、いろんな姿の女子流がいつも見せられるといいですね。
庄司:微妙なニュアンスのリズムの取り方を結構取り入れてて、「そこの音とるんだ!?」っていう部分が振り入れのときにありましたね。そこは熊木さんとダンスの先生の意思疎通というか、直接はやり取りしていないんですけど通じていたものがあったのかなって、すごいなって思いました。あとは、最近の女子流の曲はニュアンスで自分の色を出して良さを出すっていう振りが多かったんですけど、今回のラストロマンスの振り付けは、1個1個のかたちをきれいにすることが大事かなって思います。この手の角度がいい、とか、足はこっち、みたいなものを精密にやることで、音とか歌だけじゃなくて「かたち」としても表現できそうです。